田の草仁王
ページ番号1000716 更新日 平成30年2月28日 印刷
昔むかし、国分の向原にたいそう意地の悪いおばあさんがいました。このおばあさんには、娘が一人いましたが、実はこの子はおばあさんのほんとうの子ではありませんでした。
ある日のことです。おばあさんは娘に、「今日はこれから、田んぼの草取りをしてきな。ぜんぶとり終えるまで帰ってくるではないよ」と、きつくいいつけました。お日さまはもう西にかたむきかけ、だれが考えても明るいうちに終わらせるのは、無理なことでした。
それでも娘は、ひとことも文句をいわず、ただ「はい」と答えて、いそいそと田んぼへ行くのでした。
休むこともなく、一生懸命に草取りしました。夜中までかかると思われた草取りですが、苦労のかいあって、カラスがお山に帰るころには、すっかり終わってしまいました。稲もすっきりした顔で喜んでいるように見えました。草取りが早く終わったので、娘はいつもお参りしている清水寺の仁王様に寄って行くことにしました。
娘は仁王様に手を合わせてしばらく心をこめておがんでいました。やがて、すっきりした目で、ひょいと仁王様を見上げると、なんと、仁王様の足がどろんこではありませんか。田の草取りが思ったより早くかたずいたのは、仁王様が手伝ってくれたからだ、と娘は思いました。
このうわさは、すぐに村じゅうに広まり「仁王様が助けてくださったんだ」とだれもが信じこんでしまいました。
それから、清水寺の仁王様を「田の草仁王」と呼ぶようになりました。
(こどもえびなむかしばなし第1集より)
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