豊受神社のショウガ市

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ページ番号1000738  更新日 平成30年2月28日 印刷 

杉久保の豊受神社では、昭和二十年代後半まで、毎年十月の例祭になると「ショウガ市」が立ち、人々はこのショウガを必ず買い求めた。
ここのショウガを食べると目が良くなると言われていた。かつては同神社の参道・境内に三十軒余りの屋台ができ、戸板の上に束ねた生ショウガを三角形に積んで売ったと言う。
さて、このショウガ市がいつ、なぜ始まったか、詳細は不明だが、それを物語る話が杉久保地区で語り伝えられている。
いつのころか分からないが、昔、杉久保村の豊受神社の境内に釣り鐘が置かれていた時代があった。ある時、ある人がこの鐘を何気なく撞いたところ、後ろに人が立っていて、その人は揺れた撞木(鐘を撞く棒)にぶつかり、片方の目がつぶれてしまった。
この事件があってから、この鐘は神社にとってはあまり用のないものの上、不吉なものと忌み嫌われるようになり、当時、豊受神社の南方にあった長安寺の弁天池という広さ三~四坪の池に村人たちはこの鐘を沈めてしまった。
ところで、この弁天池は、かんばつの際、村人がここの清冽な水を汲んで来て雨ごいの儀式を行ったと言われている。鐘が沈められてから長い歳月を経たある年の夏、かんばつに見舞われた村では雨ごいの儀式を催すことになった。
例によって村人たちが弁天池へ水を汲みに来たが、ある者が「ここには昔、豊受神社にあった鐘が沈められている。今度引き上げて確かめてみないか」と言い、他の者も賛成して後日を期した。
そして、その当日、何人もの村人が参加して鐘を引き上げる作業を始めたが、鐘を釣るための一番上の竜頭部分までは水面から上がったが、それ以上はどうしても引き上げられず、あきらめてしまった。
その直後から村内に疫病が流行するようになり、人々は、「あの鐘を引き上げようとしたりするからだ」とますます鐘の不吉さを意識するようになった。
豊受神社では、こんなことがあってから、例祭にショウガ市が立つようになったが、ショウガは漢方では胃腸病などに効能がある薬草として扱われていたと言うから、同神社にあった鐘が原因と思われた疫病の退散やその鐘によって目をつぶされた人の話に端を発して逆に目が良くなるとの人々の願いや厄払いの意味が込められていたのではなかろうか。
また、弁天池に沈められた鐘は、もともと豊受神社のものだったのか、同神社の北側に昔あったと言われる上宮寺のものだったか、さらには長安寺のものだったか、何分にも古いことなので定かではない。

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