赤池と片葉葦

赤池と片葉葦 国分寺台には昔、湿地帯がありました。その中央には池があり、池のまわりには根元が赤く染まった葦がはえていたので、「赤池」と呼ばれていました。
 この池のそばに若いお坊さんが小さな家を建て、お経をあげて修行をしていました。
 ある満月の夜のことです。赤池の方から不思議な笛の音が聞こえてくるではありませんか。じっと見ると袖の大きな黒い衣服を着た女性が、水面に立って葦でできた笛を吹いているのでした。
 お坊さんは、「悪魔が修行の邪魔をしている」と、一心にお経をあげました。すると、女性はやがて葦の葉をむしり取ってお坊さんに向かって投げ始めました。
 一晩じゅう葦の葉を投げ続けた女性は、やがて夜明け近くになると、水の中に姿を消しましたが、それからは毎晩現れては葦笛を吹いたり、葦の葉をもぎ取って投げたりしました。そのために池に面している方向の葉だけが取られて、池の周りの葦はみんな片葉になってしまいました。
 次の満月の夜のことです。岸に近づいた女性は、「私はカラス貝の化身です。小さいとき水鳥につかまえられて、この池に運ばれ何百年もの長い間、ひとりぼっちでくらしてきました。女の姿になって、さみしさを訴えてきましたが、かえって悪魔の住む池と恐れられて近づく人もいません。どうぞ私のために尊いお経をあげてください」と涙を流して泣くのでした。
 お坊さんがお経をあげると、どうでしょう。女性は輝くばかりの美しい菩薩さまになって空中に消えていきました。
 その後も、この場所に生える葦はみんな片葉になってしまいました。 

(こどもえびなむかしばなし第2集より)

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