笑う閻魔様

笑う閻魔様 大谷の観音様の隣りにある閻魔堂には、不思議な閻魔様があります。
 閻魔様は、うそをつくと舌をぬく、とよくいわれますが、ここの閻魔様は、悪いことをしてもいないのに、悪いことをしたと疑いをかけられた人が無実を訴えると、その人に笑いかけるので「笑う閻魔様」といわれ、昔から村人たちに親しまれています。
 江戸時代に、天保の大飢饉といって農作物がとれない年が五年も続いたことがありました。
 大谷に住むまずしいお百姓さんのせがれが、実った稲を盗んだというので、年老いた両親といっしょに村を追い出されることになりました。
 身におぼえのない若者は、「私はやっていません」と無実を訴えましたが、閻魔堂の前でみんなの裁きを受けることになりました。若者は閻魔様の前に進むと「本当にうそを見破って裁く閻魔様なら、私が稲を盗んだかどうか裁いてください」と訴えました。
 この時、閻魔様は、大口をあけて笑い、「本当の悪人を今あぶりだしてやる」そういうと、口から火を三メートルも吹き出しました。その炎は一番後ろにいた、いつも「正直者よ」といわれているお百姓さんの髪の毛をぢりぢりと焼きました。その男は苦しみながら「盗んだのは私です」と言うと気絶してしまいました。
 現在は古くなってしまって、閻魔様の木像も昔のおもかげは見られませんが、そのお顔は、やましい心を持った人が見ると怒っているように見え、心正しい人が見ると笑っているように見えると言い伝えられています。今でも見ようによっては、目元、口元が何となく笑っているように見えるのは不思議なことです。 

(こどもえびなむかしばなし第2集より)

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