狐のいたずら

狐のいたずら 今から百三十年くらい前のことです。浜田の妙常寺に大へんスルメの好きなお坊さんがいて、毎晩これをさかなに酒を飲んでいました。
 夜になるとお坊さんがスルメを焼くので、堂山の狐が臭いをしたってやってきて、居間の戸を”とんとん”と叩く、お坊さんは「ほいよ」と言ってスルメの半分を雨戸の間から外へ投げてやる。こんなことが毎晩続きました。
 お坊さんが法事でよそに泊まったある晩のことです。留守番を言いつけられた寺男は、勝手にスルメを持ち出して、これをさかなに酒を飲んでいました。スルメの臭いで、狐はまた今夜ももらえるものと思ってやってきました。
 いつもなら、ぽいと投げ出してくれるスルメがもらえないので、雨戸を叩いておねだりしたのですが、寺男は知らん顔。もらえないので狐はしきりに雨戸を叩きます。
 寺男は、うるさいので雨戸を開けると、やかんのお湯を庭へまきました。お湯をかけられた狐が腹を立てたのでしょう。しばらくすると、雨戸を濡れ手拭いででも叩くような、ピシャッピシャッ、という音がし始めたのですが、寺男は一人でいい気になって飲んでいるうちに寝てしまいました。
 朝になって目をさますと、畑にまく下肥えの臭いが一面に立ちこめています。どうしたことかと表に出てみると、雨戸一面に人糞尿が塗りつけてあり、これでは臭いわけです。
 お湯をかけられた狐が仕返しに、近所の畑にある肥だめを尻尾でかき回し、たっぷり濡らしては雨戸を一晩中叩いていたのです。
 寺男はお坊さんに怒られないようにと、夢中で雨戸を洗いましたが、下肥えの臭いは簡単にとれません。帰ってきたお坊さんに問い詰められて、狐のいたずらであることを説明すると、お坊さんは「それはお前が悪い。たとえスルメの足一本でも与えてやれば、狐はあきらめて帰ったろうに。かわいそうなことをしたものだ。」と、つぎの晩にわざわざたくさんのスルメを堂山まで置きに行った、ということです。 

(こどもえびなむかしばなし第2集より)

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