わかれ坂の地蔵

わかれ坂の地蔵 中河内の貴日土神社のわきには「わかれ坂」という坂があります。その坂の途中には、こんな話があります。
 昔、この土地に貧しい親子が住んでいました。あるとき不作が続き、親子の食べる物がまったくなくなってしまいました。おなかのすいた子供をみかねた父親は、イモどろぼうをすることにしました。
 その夜、見張役の子供を連れてイモ畑に向かった父親は、途中、わかれ坂のお地蔵様に立ち寄り、目を閉じ、手を合わせて願いごとをしました。「これから他人様のイモ畑のイモを盗みに行きます。悪いことだということは十分知っていますが、なにぶん食べるものがありません。どうか誰にも見つからず、誰にも知られぬようお守りください」と、言って目を開けてみると、今までくもっていた夜空が急にはれて、お月様がこうこうと輝き出しました。そして、そばにいた子供がお地蔵様に変身しているではありませんか。そのお地蔵様は、父親にこう話しかけました。「お前がしようとしていることは、月も、私も、お前の子供も見ている。それに、お前自身が『悪いこと』だと知っているではないか。悪いことは隠し通せるものではない」
 びっくりした父親は、もとの姿にもどった子供の手を引いて家に逃げ帰り、二度と悪いことをするのはよそう、と心に誓いました。そして、親せきの家々から少しずつ食糧を借りて飢えをしのぎました。
 つぎの年も不作が続きましたが、なぜかこの親子の畑だけが豊作になりました。
 しかし、不作の苦しさやお地蔵様のことが忘れられない父親は、近所の人たちに惜しげなく食べ物を分けてあげたので、「あの親は親切で正直者だ」と、みんなから尊敬され続けたそうです。

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